物語の延長線で鳴る音楽──
「生活の設計」のお二人に12の質問
text: BEHIND 編集部
皆さん、こんにちは!こちら、編集部です。
心地よいメロディと、日常の風景を切り取るような言葉で、多くのリスナーの“生活”に寄り添い続けているユニット「生活の設計」。
兄弟でもある二人の何気ない毎日の中から紡がれる音楽は、どこか懐かしく、温かい余韻を残します。
そんな「生活の設計」のお二人(大塚真太朗さん、大塚薫平さん)に、創作のことから日常のことまで、12個の質問をさせていただきました。

🎬 映画・カルチャーについて
- Q1.音楽活動に直接または間接的に影響を与えた映画やカルチャーがあれば教えてください。
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真太朗さん:映画に関しては直接曲のインスピレーションになったり、なんならバンド名も映画からとっているので結びつきは強いかなと思っています。『ロスト・イン・トランスレーション』という作品のトーンが大好きでこの作品の街の映し方は風景描写の歌詞を書くときに影響を受けているかもしれません。
他カルチャーで言うと同じ映像系ですが海外ドラマは大好きです。『マスター・オブ・ゼロ』という作品はニューヨークで暮らすインド系アメリカ人のデフが俳優としてのキャリアアップを目指しながら友人や恋人と暮らす様子を描いたコメディドラマ。毎話扱うテーマは些細なことや社会的問題など様々ですが軽妙な語り口と洗練されたタッチで、しかも笑える。スルッと観られるけど心に残るものは確かにある、こんなアルバムを作りたいなと思わせるという意味でとても影響を受けている作品です!シーズン3が5話ってのもミニアルバムみたいでかっこいい。
薫平さん:音楽以外からそんなに影響はないと思います、多分。すみません。 - Q2.自分たちの音楽が合いそうだなと思う映画や監督、シーンがあれば教えてください。また、もしサウンドトラックを担当できるとしたら、どんな作品をイメージしますか?
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真太朗さん:この前のリバイバル上映で観た『リンダ・リンダ・リンダ』もバンドを始めた頃の燃えるような気持ちを思い出し、改めて気合が入りました。そこでかかっていたジェームズ・イハさんの音楽が素晴らしく作品にマッチしていたので、機会があれば青春と音楽が混じり合う作品で是非トライしてみたいなと思ったりしました。
薫平さん:「Birdman」(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))のサントラみたいに、会話劇の中の裏でゾッとするようなドラムだけの曲をやってみたい。余談ですが「Whiplash」(セッション)を見たあと、ラストシーンの”Caravan”のドラムを練習しましたが途中でむずすぎて挫折しました。

🎧 音楽=生活の一部について
- Q3.日々の中で、音楽はおふたりにとってどんな存在ですか?もし生活の中から音楽がなくなったら、何がいちばん寂しいと思いますか?
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真太朗さん:音楽を「聴く」ことは月並みですが、忙しい毎日の中で息をつける場所です。「作る」ことは大変なので厄介に思うときもありますがそれによって自分自身が癒やされたりするので大事な存在です。もしなくなったら、、やることがなくなっちゃうのが寂しいです。
薫平さん:テンションを上げて、気分をドライブしてくれるもの。あとはどういう風にしたらどういう気分になるのか知ったり深堀り出来るから面白くてしょうがないです。 生活の中から音楽がなくなったら、ゼロから作っちゃいそう。 - Q4.音楽から離れている時間は、どんなふうに過ごされていますか?
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真太朗さん:爆笑問題やウエストランド、カミナリなど好きなお笑い芸人の映像やラジオを聴いたりしています。
薫平さん:基本的に人と会ってお酒飲んでぺちゃくちゃおしゃべりしているか、筋トレしています。 - Q5.日々の生活や身の回りのことが、曲づくりにどんな影響を与えていますか?音楽と日常のあいだに、どんな関係を感じていますか?
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真太朗さん:良いことも悪いことも心が動くことでそれを昇華できるのが曲作りなのですべてがもとになっていると思います。日常で暮らしている中でひっかかることや”襞”のようなものを見逃さないことが大事なのかと思っているので切り離せない存在です。
薫平さん:結構気分が落ちていてもライブをしたりスタジオ入っていたら楽しくなるかもしれない。リスナーの皆様も僕が感じるのと同じように楽しんで欲しいですね!
👤 プロデューサー・片寄明人さんとの制作について
- Q6.2ndアルバム『長いカーブを曲がるために』は、プロデューサーに片寄明人さんをお迎えしていますが、ふたりだけでつくる音楽と、片寄さんのような第三者を交えてつくる音楽では、どんな違いを感じましたか?
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真太朗さん:自分たちじゃわからない生活の設計の魅力を教えてもらったり、曲作りのお題を出していただけることに、2人だけでやるときの違いを感じました。メロディを届けることの大切さも歌録りのときに教えてもらいました。
薫平さん:雰囲気をリードしてくれる存在で大変ありがたかったです。細かいアイデアや、素晴らしいサポートミュージシャンを呼んでくださったのもありがたかったです。 - Q7.一緒に作業をしているなかで、印象に残っている言葉ややり取りはありますか?
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真太朗さん:レコーディング前に片寄さんの車の中で一緒に声出しがてら2人で何度も歌ったこと。コーラスのラインも考えてくれて、2人でハーモニーを感じながら歌った経験は忘れられません。
薫平さん:その会話の中で誰も傷つけないように言葉の一つ一つが丁寧で、それでいて自分らしさを大事にされていて素敵な方だなと思いました。
🎹 創作活動全般について
- Q8.楽曲のタイトルや歌詞に出てくる言葉の選び方で、大事にしていることは何かありますか?
- 真太朗さん:今作では「ファミレスのポテト」「フードコートで食べるラーメン」など、食べ物の名前がたくさん出てきます。あまり意識してなかったのですが気づいたらそうなっていて振り返ってみるとよりパーソナルな雰囲気を歌詞に表したかったんだと思います。毎日食べるものだけど場所や種類は人それぞれだから、その人が出ますよね。
- Q9.兄弟という関係性が、音楽をつくるうえでどんな強み、あるいは制約になっていると思いますか?
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真太朗さん:お互いの性格を知りすぎていることは強みにも制約にもなっているかなと思います。
薫平さん:んーー実はありそうで、特にないと思います。お互い自分らしくやれているのは強みかなと思います!

🪑 社会やリスナーとのつながりについて
- Q10.音楽が社会や日常にどう作用してほしいと感じますか?
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真太朗さん:あまりどう作用してほしいとかは考えていないです。社会に対してのメッセージを受け取ることもできれば、このメロディ良いなと何の気無しに感じてちょっと気分が明るくなれたりするのが音楽のいいところかなと思います。
薫平さん:日常が日常じゃなくなったときに真っ先に社会、というか政治から排除の対象となるのが音楽や芸術になる、ということをバンドを始めた頃の3.11、そして生活の設計を始めたコロナ禍で肌で感じました。
それでもやっぱり誰かの心の支えになり続けてほしいし、本当はどこか必要としているはずなんですよね。おこがましいけど。こういう話になると、英国のテロ事件の直後追悼集会で自然発生的に地元バンドOasisの楽曲が大合唱された映像を思い出します。あとは、そういった時にバンドとしてどういうアティチュードでいるか、を大事に出来るバンドでいたいなと思います。 - Q11.「生活の設計」の音楽を聴いてくれている方の“生活”の中で、自分たちの音楽がどんなふうに流れていると嬉しいですか?
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真太朗さん:どう流れていてもいいですが何年先にも思い出して聴いてもらえたら嬉しいです。
薫平さん:どんな形でも一人ひとりの生活の中で流れてさえいたら嬉しいです。 - Q12.最後に、今の“生活”をともに生きているリスナーへ伝えたい言葉があればお願いします。
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真太朗さん:毎日大変だけど美味しいご飯や素敵なひとたち、そして楽しい音楽と一緒に生き抜いていきましょう!
薫平さん:色々なバンドがいる中僕らを見つけてくれて、そしてここまで読んでくれてありがとうございます。色々考えていないように見えて、実は色々考えながらいい曲を作れるように頑張っているので、これからもよろしくネ!!
「生活の設計」の真太朗さん・薫平さん、お忙しい中お答えいただき誠にありがとうございました!
💿 リリース情報

発売中!
7インチシングル『タイニー・シャイニー』
¥2,200
- タイニー・シャイニー
- 君に起こりますように
※「ここでしか読めない大塚真太朗による楽曲解説」付き

2026.2.11(水)リリース!
LPレコード『長いカーブを曲がるために』
¥3,800
- 街とダンサー
- 稀代のホリデイメーカー
- いちょう並木の枯れるまで
- いさかいないせかい
- タイニー・シャイニー
- 君に起こりますように
- ポモドーロ
- 小東京(リトル・トーキョー)
※プロデューサー片寄明人さんとの鼎談テキストも収録
🎤 ライブ情報
『長いカーブを曲がるために』リリース記念ワンマンライブ
🗓️ 2026年2月7日(土)
📍 青山月見ル君想フ

年内割引 ¥3,500+1D
一般 ¥4,000+1D
当日 ¥4,300+1D
チケット発売中!
🔗 https://t.livepocket.jp/e/260207seikatsu
Profile

生活の設計
東京を中心に活動する2人組兄弟バンド。ソウル / ソフトロック / パワーポップに影響を受けた日本語ポップスを演奏する。
大塚真太朗(Vo, Gt)
大塚薫平(Dr, Cho)
2023年に1stフル・アルバム『季節のつかまえ方』をリリース。
青山 月見ル君想フ にてワンマンライブ開催しソールドアウトとなる。
同年「レコードの日」に合わせ 7インチシングル『キャロライン / むかしの魔法』をリリース。
2024年には共演に澤部渡(スカート)、砂の壁を迎えた自主企画「新生活」を開催。
また、POPEYE 11月号特集「やっぱりバンドっていいよね。」にて小西康陽との鼎談記事が掲載。
2025年 10月、片寄明人(GREAT3)をプロデューサーに迎えた2ndアルバム『長いカーブを曲がるために』をリリース。