映画『ホウセンカ』の原作・脚本を手がけた此元和津也さんへの質問。
text: BEHIND 編集部
2025年10月10日公開のオリジナルアニメ映画『ホウセンカ』の原作・脚本を手がけた此元和津也さんにお話を聞くことができた。
映画『ホウセンカ』という作品について
- Q.企画のきっかけや、制作の経緯
- 木下監督からのオファーと企画メモが出発点です。ヤクザを主軸にした案から、独房の老人がホウセンカと語る回想枠を選びました。
- Q.作品に込めた想いや、伝えたいメッセージ
- 登場人物の選択と結果を、美化も断罪もしない距離で並べて、「思い続ける時間」を描く方針で制作しました。
- Q.作品のテーマや、象徴的なシーン
- テーマは大逆転。正しさではなく、積み重ねで描きました。
印象的なのは、新居で身の回りの音だけで『スタンド・バイ・ミー』を刻む場面。
生活音が思い出に変わる瞬間として成立していて、よかったです。
お互いの作品について
- Q.それぞれの作品に対する印象や感想
- 木下監督は、言いすぎずに観客を信じて見せる演出、間合いで伝える温度。
絵柄は落ち着いた色合いで画面がうるさくならない。人物の顔も誇張しすぎず、背景の生活感がきちんと見える。
そして、老人を題材の中心に据えて若さや奇跡に寄せて安心を取りに行かない。
「この顔ぶれ」で勝負する覚悟が素晴らしいなと思いました。 - Q.今回のコラボレーションで実現したかったこと
- まずは監督に寄り添ったものを作ること。役割と持ち場をはっきりさせ、脚本は土台の設計に徹しました。
次に最小人数・最小手数でどこまで行けるかを試すこと。限られた体制でも届く範囲を広げることを目標にしました。
Behind the Scenes®︎のブランドコンセプト「90年代カルチャー」について
- Q.90年代の映画や音楽、ファッションなど、此元さんが影響を受けたカルチャー
- THE HIGH-LOWS、Hi-STANDARD、KEMURI、Green Day、The Offspring、Rancidが好きです。
- Q.当時のカルチャーが、現在の作品にどのように影響を与えているか
- ノワールの体温と社会派の骨格の影響はあるかもしれません。断罪で終わらず、そこに至る流れを見る姿勢。
今後の展望
- Q.今後の活動について、挑戦したいこと
- 作ることと休むことの両立です。
此元さん、お忙しい中お答えいただき誠にありがとうございました!
PROFILE
此元和津也 / KAZUYA KONOMOTO
漫画家/脚本家。漫画「セトウツミ」(13~17/秋田書店)が、映画化&ドラマ化の大ヒット作品となる。映画/ドラマ/Huluオリジナルストーリー展開の「ブラック校則」(19)で、本格的に脚本家としての活動を開始。TVアニメ「オッドタクシー」(TX)でオリジナル脚本を手掛け大きな話題を呼んだ。ドラマ「シナントロープ」(原作・脚本)が10/6放送開始 。漫画「カミキル-KAMIKILL-」(原作)が週刊ヤングジャンプにて連載中。P.I.C.S. management所属。