
#2 怖い映画とTシャツの話。
text: BEHIND 編集部 D
高校生の頃、タランティーノっていう奇才が現れて、僕の映画人生はガラッと変わった。それまでは、『僕らの七日間戦争』とか『帝都大戦』、『里見八犬伝』や『孔雀王』みたいな、ちょっと前の日本映画が好きだった。
でも、タランティーノの作品に出会ってからは、その哀愁のある映像や空気感にすっかりハマってしまった。繰り返し何度も観てたのは、ただ好きだったからってだけじゃなくて、セリフの内容をちゃんと理解したかったから。当時の僕にはちょっと難しく感じたからこそ、「100%わかりたい!」って気持ちで観続けてたら、英語もちょっと得意になってた。

洋画で言えば、『シャイニング』や『エイリアン』といった古典ホラーも大好きだった。何度観ても飽きない、不朽の名作だと思う。
でも一方で、『ゴッドファーザー』や『タクシードライバー』といった、誰もが「格好いい」と評する名作には、どこか恐怖を感じていた。モヒカンやM-65ジャケット、黒いスーツ──、今でもそれを見ると、無条件で怖くなる。

初めて映画Tシャツを買ったのは、16歳の夏。鹿児島の小さなセレクトショップで見つけた『トゥルー・ロマンス』のTシャツだった。
薄手のヘインズに、ラストシーンが小さくインクジェットで刷られただけのシンプルな一枚。タイトルロゴすら入っていなかった。それでも僕にとっては特別な一着で、大切にコレクションしていた。
けれど、上京中に母に捨てられてしまったようで、今でもオークションやフリマサイトで探し続けている。

最近は、『シャイニング』『パルプ・フィクション』『キル・ビル』といった作品のブートTをフリマサイトで見つけては、つい買ってしまう。
古着のような加工がされていて、まさに当時の田舎では見られなかった個性的なデザインに惹かれている。
